二つ目玉
北海道の夏は霧の季節でもある。霧の摩周湖などという歌ができるほど霧の日が多い。
海水が冷たい、沿岸地帯では晴天の日でも朝晩霧に悩まされる地域もある。自動車でも霧が出ると眼前が真っ白になって前進するのが怖いが、ダイヤで走る時分秒まで決められてる鉄道にとっては厄介な大敵。遮断機の無い踏切が大多数の北海道では、人や車、果ては牛が居ても衝突は避けられない。
冬は冬で吹雪で視界はホワイトアウトして、これまた前方注視が困難になる。北海道の鉄道運転士にとって、視界の確保は切実な問題なのだ。
だから、現代でも北海道を走る車両には、これでもかと言う位に前照灯が幾つも装備されている。
蒸気機関車の場合には、更に運転室の前に長大なボイラーがあって普段から真正面は見えない。そんな背景から、前照灯を2つつけた2つ目玉の蒸気機関車が活躍していた。
苫小牧から太平洋側を襟裳岬に向けて海岸沿いを走る日高本線には、二つ目のC11型機関車が走っていたので、珍しさに釣られて撮りに出掛けた。
日高と言えばサラブレッド。昔から馬の産地だけれど、海岸線から日高山脈に向かって断崖が立ち上がる地形で霧の出やすい地形。海岸線を忠実にトレースして左右に蛇行する線路で、運転士はさぞかし苦労しただろうと思う。
他日襟裳岬から太平洋を望む絶景を求めて観光した時も、海面すら見えぬ真っ白けで、全くどんな景色なのか分からなかった。
日高本線は、行き止まりの盲腸線だから交通量は多くない。小型で性能の良いC11型が多数配置され活躍していた。
静内にて 見慣れたいつもの顔つきと違って何となく愛嬌がある
写真が傾いてるけど、反対側はこんな顔つきで、何となく間が抜けてる